『文盲』など

アゴタ・クリストフの自伝『文盲』。
短いので一瞬で読めるのだけれど、スーパー印象深い本。

自伝といっても多くを語るわけではないし(むしろ多くを語っているのは訳者あとがきかも)、時系列もざっくり。
でも読むことと書くことを求めて続けている著者の気持ちが、良く伝わってくる自伝だったな〜。

“この言語を、わたしは自分で選んだのではない。たまたま、運命により、成り行きにより、この言語がわたしに課せられたのだ”
これがグッときます。
なんとも中動態的。 

アゴタ・クリストフしっかり堪能できてよかった!

それ以外の読了本は『〈帰国子女〉という日本人』、『母さん、ごめん』の2冊。

帰国子女本は著者の堂々巡りが面白く、特にどうやって帰国後に日本社会の洗礼を受けて、それを克服(?)していったのかの詳細が妙に面白い。
しかしこういったカテゴライズされることによる苦労は他にもたくさんあるだろうな。中学、高校って一番同調圧力が強くて、自分の立ち位置に敏感な時期だからねーーー。絶対戻りたくないな。 

全然たいした話じゃないけど……
(当たり前か。アゴタ・クリストフとくらべれば私の話は全部ゴミですわ)
中学入学時に、その年の入学生からは自転車は何色でも良いとなったんで、張り切って緑の自転車で登校したら、周りから結構いじめられましたね。
みんな心狭すぎるでしょ。
緑の自転車ごときでコレなのだから、少数派の帰国子女の苦労はなかなかのものに違いない。

『母さん、ごめん』タイトルが情緒的だったので、どんだけ辛いことが起こるのだろうと身構えてしまった。 もう少しサラッとしたタイトルでも良いんじゃないのかしらね。